
ピロリ菌検査とは?
胃の健康を維持するためには、日頃の生活習慣だけでなく、胃の中で起こっている変化を知ることも大切です。食生活に気を配っていても、自分では気づきにくい原因によって胃の状態が変化している場合があります。
ピロリ菌検査とは
ピロリ菌検査とは、胃の粘膜にヘリコバクター・ピロリ菌が感染しているかどうかを調べる検査です。ピロリ菌検査は胃がんそのものを診断する検査ではなく、感染の有無を調べ、必要な治療や胃の状態を確認するための検査につなげる役割があります。
ピロリ菌とは
ピロリ菌は、胃酸の強い環境でも生息できる細菌で、胃の粘膜に長期間とどまる性質があります。主に幼少期に感染すると考えられており、感染後は自然に排除されず、長期間にわたって胃の中に存在する場合があります。
ピロリ菌は、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気に関係しているほか、胃がんの発症リスクを高める要因としても知られています。感染が続くと胃の粘膜に炎症が起こり、時間の経過とともに粘膜が薄くなる萎縮性胃炎へ進行することがあります。ただし、感染者全員が胃がんを発症するわけではありません。
ピロリ菌検査の種類と特徴
ピロリ菌検査には、胃カメラを使用せずに行う方法と、胃カメラを使用して胃の組織を採取する方法があります。
胃カメラを使わない検査には、尿素呼気試験、血液や尿を用いた抗体検査、便中抗原検査などがあります。尿素呼気試験は、検査薬を服用する前後の呼気を採取し、ピロリ菌が持つ酵素の働きを利用して感染を調べる方法です。便中抗原検査は、便に含まれるピロリ菌由来の成分を調べる検査で、現在感染しているかどうかの確認や除菌後の判定に用いられます。
胃カメラを使用する検査では、胃の粘膜の一部を採取し、ピロリ菌の存在を調べます。代表的な方法には、採取した組織を試薬と反応させる迅速ウレアーゼ試験や、顕微鏡で菌を確認する鏡検法、菌を培養する方法があります。胃カメラを使用することで、胃炎の広がりや粘膜の変化、潰瘍などの異常を直接観察できる点も特徴です。
ピロリ菌検査の流れ
ピロリ菌検査を受ける際は、はじめに医師による診察を行い、胃の症状や過去の病歴、除菌治療を受けた経験などを確認します。胃痛や胃もたれが続いている場合には、症状の経過についても詳しく聞き取ります。そのうえで、必要に応じて胃カメラやピロリ菌の感染を調べる検査を実施します。尿素呼気試験では、検査薬を服用する前に呼気を採取し、服用後に一定時間をおいて再び呼気を採取するのが基本的な流れです。
血液検査は採血によって抗体の有無を確認し、尿検査や便検査では指定された方法で検体を提出します。胃カメラを使用する場合は、検査前に食事制限などの準備が必要です。検査当日は、医療機関から案内された注意事項に従ってください。また、検査結果が分かるまでの時間も検査方法によって異なります。迅速ウレアーゼ試験などは比較的短時間で結果が得られる場合がありますが、血液検査や便検査では後日説明を受けることもあります。
ピロリ菌検査を受けるべき人
ピロリ菌検査を検討するきっかけのひとつに、胃の不調が続いていることが挙げられます。みぞおちの痛みや胃もたれ、食後の不快感などが続く場合は、胃炎や胃潰瘍などが関係している可能性があります。ただし、こうした症状はピロリ菌以外の原因でも起こるため、症状だけで感染の有無を判断することはできません。
過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍と診断された方、胃カメラで慢性胃炎や萎縮性胃炎を指摘された方も、ピロリ菌の感染について確認する機会があります。また、家族にピロリ菌の感染歴や胃がんの既往歴がある場合は、検査について医師に相談してみることも大切です。過去に感染の有無を調べたことがない方や、健康診断で胃の異常を指摘された方も、必要な検査について相談することができます。特に、体重減少や黒い便、貧血などがみられる場合は、ピロリ菌検査だけでなく、胃カメラなどによる詳しい検査が必要になることがあります。
ピロリ菌検査を受ける際の注意点
ピロリ菌検査では、検査前の食事や服用している薬によって結果に影響が出ることがあります。特に尿素呼気試験では、胃酸の分泌を抑える薬や抗菌薬などの影響によって、実際には感染していても陰性と判定される場合があります。そのため、検査前に一定期間の休薬が必要になることがあります。普段から胃薬や抗菌薬などを服用している方は、診察時に薬の名前や服用状況を伝えてください。自己判断で薬を中止せず、医師の指示に従うことが重要です。
また、ピロリ菌検査は、どの方法でも100%正確に判定できるわけではありません。検査結果が陰性であっても、胃カメラで感染を疑う所見がみられる場合には、別の検査を追加することがあります。
ピロリ菌検査の費用
ピロリ菌検査は、一定の条件を満たす場合に健康保険が適用されます。例えば、胃カメラでヘリコバクター・ピロリ感染胃炎が確認された場合や、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの対象疾患がある場合には、保険診療として検査や除菌治療を受けられることがあります。
検査費用は、選択する検査方法や保険負担割合、診察内容によって異なります。保険診療では検査費用のほかに、初診料や再診料、必要に応じて胃カメラなどの費用が加わります。また、検査の結果が陽性となり除菌治療を行う場合は、薬剤費や治療後の判定検査にも費用がかかります。自費診療では医療機関ごとに料金が設定されるため、検査を申し込む前に確認しておくと安心です。
ピロリ菌検査で陽性だった場合
ピロリ菌検査で陽性と判定され、現在の感染が確認された場合には、除菌治療が検討されます。一般的な除菌治療は、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を組み合わせ、7日間服用する方法です。薬を決められた期間にわたって服用することが重要で、途中で服用をやめると十分な除菌効果が得られない可能性があります。治療中には下痢や軟便、味覚の変化などが起こる場合もあります初回の除菌治療で菌が残った場合には、使用する抗菌薬を変更して再度治療を行うこともあります。
除菌治療が終了した後は、ピロリ菌がいなくなったかどうかを確認するための検査が必要です。一般的には、除菌薬の服用終了から4週間以上の期間をあけ、尿素呼気試験や便中抗原検査などで判定します。治療薬を飲み終えただけでは、除菌に成功したかどうかは分かりません。また、除菌が成功すると胃がんの発症リスクは低下しますが、完全になくなるわけではありません。長期間の感染によって胃の粘膜に変化が生じている場合は、除菌後も胃がんが発生する可能性があります。そのため、除菌の成否を確認するとともに、胃の状態に応じて定期的な胃カメラ検査を継続することが大切です。


